これまで多くの選手を取材してきたが、レース後に涙を流すことはあまりない。先日、そんな場面を目の当たりにした。12月5~8日に行われた松山記念。121期の真鍋智寛(26=愛媛、写真)は最終日を終えると目頭から熱いものがこぼれ落ちた。
「初日1着でいいスタートを切れたけど、(その後は)ラインに迷惑をかけてしまって…」
地元のGⅢで幸先よく勝利を飾りながら、2次予選は鐘カマシ不発。後ろも共倒れの形になり、勝ち上がれなかった。気を取り直して挑んだ3日目は3番手の内側に詰まったまま。持ち味を出し切れず8着に終わった。最終日は同じ失敗は許されない。前受けから突っ張り先行に出ると、番手の浜田浩司は捲りを止めに行く。これが審議となり押し上げで失格となった。真鍋は2着に逃げ粘ったが、喜べるはずはなかった。
「3日目に力を出し切れなかったので、前を取って突っ張ろうと。納得するレースはできたけど、浜田さんに仕事をさせ過ぎました。もっと自分が強かったら…。申し訳ない」
次走のGⅡヤンググランプリ(28日、静岡)へ弾みをつけるはずが、悔しさあふれる結果に終わった。年末の一戦で挽回なるか。
ヤンググランプリは4番車。実は吉兆の車番というデータがある。21年静岡で高橋晋也が2着、22年平塚で菊池岳仁がV。そして昨年の立川は上野雅彦が3着。ヤンググランプリでは3年連続で3連単車券に絡んでいる。並びは前検日の27日にならないと分からないが、中四国で昨年の覇者・太田海也と連係するならチャンスは十分ある。今年最終戦で歓喜の涙を流すシーンを見てみたい。(亀田 克也)